論点思考とは?5分でわかるやさしい解説

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みなさんこんにちは。

今回は、元ボストンコンサルディンググループ代表の、内田和成(うちだかずなり)さんの著書「論点思考」について解説します。

世間では、問題解決の方法ばかりが取り沙汰されがちですが、問題解決の最上流に当たるプロセスは「解くべき問題を決めること」つまり、論点設定です。論点思考とは、適切な問題を発見し、設定をするための思考法で、論点思考は、間違いなくビジネスマンにとって必須のスキルです。

 

目次

論点思考のイメージを掴むための例

早速ですが、論点思考のイメージを掴むため、ある例について考えてみましょう。

「AさんとBさんの前にケーキが1つあります。2人が納得するようにケーキを2つに分けたいです。どのようにケーキを分けたら、2人は納得するでしょうか。」

 

さて、あなたならどうやってこの問題を解きますか?

 

もし、この問題に取り組むとき、「どうやったら正確に2等分できるだろうか」と考えたなら、すでに解くべき論点の設定を間違えています。

 

「どこにナイフを入れたら、最も正確に半分に分けられるか」を考え始めてしまうと、ケーキの上にあるイチゴの数や大きさ、クリームの量を考えたりしなければなりません。正確に2等分するのは、かなり難しいでしょう。

 

この問題の論点は「どうやったら2等分できるか」ではなく、「どうやったら2人を納得させられるか」という点です。厳密に2等分されていなくても、問題はありません。

 

この問題の答えは「Aさんが出来るだけ半分になるように切り分け、Bさんが好きな方選ぶ」というものです。この解決策ならば、Aさんは自分で切ったため、どちらのケーキを選んでも文句はないでしょうし、Bさんは好きな方を選べるので納得できます。また、正確に切り分けるより、この解決策を実行する方がずっと簡単です。

 

この例からわかるように、論点設定は非常に重要です。しかし、プライベートでもビジネスでも、間違った論点を設定して、問題を解決しているケースは枚挙にいとまがありません。

 

ピータードラッガーは、次のように述べています。

「経営における最も重大な過ちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えることだ」

まさにドラッガーの言う通りで、間違った問いに答えると、答えを導き出すためにかけた時間が、全て無駄になってしまいます。

 

論点と現象を見極める方法

論点思考の概要がつかめたところで、次に、論点と現象を正しく見極める方法について見ていきましょう。現象や観察された事象は、論点と間違えられることがあります。一般的に、問題と呼ばれるものの大半は、現象や観察事象であって、論点ではありません。

 

会社に泥棒が入った際の論点

会社に泥棒が入ったケースを考えてみましょう。会社に泥棒が入ったことは、論点でしょうか?現象でしょうか?

答えは、現象です。

現象であるならば、このケースの論点は何でしょうか。4つ考えられます。

  1. 防犯体制に不備がある。
  2.  損害を受けた、あるいは今後受ける可能性がる。例えば、現金が奪われたなどの直接的な損害や、顧客名簿を盗まれたことによる、将来的なトラブルの可能性がある。
  3.  報告体制に不備がある。昨日泥棒に入られたのに、報告を受けたのは今日になってからだった。
  4. 盗難にあったことが報道され、会社のイメージダウンにつながった。

 

以上の4つです。それぞれの論点に対する対応する打ち手は異なります。

 

  1. 防犯体制を作る
  2. 損害額を算定して、損益への影響を最小化する
  3. 報告体制を整備する
  4. 低下したイメージを払拭するキャンペーンの検討

などが打ち手です。

 

企業は、経営資源が限られているため、全ては解決できません。全ての打ち手を実行しようとするのではなく、優先順位をつけて実行すること、言い換えれば、幾らかの論点を捨てる決断をすることが大切です。

少子化問題の論点

ビジネスでなく、世の中でも「問題」と考えられているけれど、実は問題ではないものがあります。

 

日本の少子化を世界レベルで捉えれば、むしろ歓迎すべきことかもしれません。世界レベルでは、人口増加の影響で食糧難に苦しんでいる人々も、たくさんいます。

では、少子化という現象の論点を考えてみましょう。

1つ目の論点は、労働力の減少です。子供の数が減り、将来的な労働人口が低下すると、経済活動が停滞するでしょう。

 

2つ目の論点は、社会保障制度の維持が困難になることです。生産年齢人口と老年人口の比率が崩れ、年金や健康保険などの制度を維持するのが難しくなります。これはすでに起き始めていますよね。

 

3つ目の論点は、歳入が減り、歳出が増えることで国家財政が破綻する可能性があることです。

 

4つ目の論点は、地方における高齢者の割合の増加と、都市部の人口の一極集中です。地方には活気がなくなり、都市には人が溢れかえります。

 

パッと考えただけでも、4つの論点があることがわかります。そして、先ほどの例と同様に、それぞれの論点に対する打ち手は異なります。しかし、国は「少子化」を問題として、解決しようとしています。これでは、どうあがいても解決は不可能です。

皆さんの周りにも、もしかすると論点の設定を間違えて、解決不能な問題を解こうとしているケースがあるかもしれません。

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