みなさんこんにちは。とどです。
私は現在、IT系のベンチャー企業でマーケター兼管理職として働いています。
中間管理職は、自分の部下から相談をもらう立場でありながら、自分も上司に相談をする立場でもあります。つまり、相談を受ける「上司」としての気持ちも、相談をする「部下」としての気持ちも、どちらも理解できるんです。
この記事では、そんな私が経験から学んだ、「相談」の真髄をご紹介します。
この記事を読めば
- なぜ相談をしなければならないのか
- 上手に相談をするコツ
がわかります。
相談の役割と、2つの目的
ひとくちに「相談」といっても、相談の持つ意味は意外にも広いものです。まずは、相談の役割を整理しましょう。
みなさんは、報連相という言葉を聞いたことがありますか?ビジネスではかの有名な「報告・連絡・相談」の略語ですね。相談の役割は、報連相から考えるとわかりやすいでしょう。報告・連絡・相談の役割は、それぞれ時制で分類できます。
報告:過去のものごとについて伝える
連絡:現在のものごとについて伝える
相談:未来のできごとについて伝える
そう。相談は、未来のできごとについて話すことなんです。そして相談には、大きく分けて2つの目的があります。
1つ目は、課題解決を目的とした相談です。
今の悩みや課題を相談することで、皆さんは上司から課題解決つながるアドバイスをもらえます。一般的に、上司はみなさんよりも経験や知識が豊富です。そのため、みなさんが考えてもいなかった角度からアドバイスをもらえることもあるでしょう。
また、悩みや課題が明確でなくとも、相談によって「何が課題なのか一緒に考えてもらうこと」も可能です。課題解決のための相談は、課題が明確でなくとも有効なのです。
もう1つは、承認を得ることを目的とした相談です。
- 「〜〜の施策を実行するために、〜〜円の予算が必要なのですが、承認いただくことは可能でしょうか」
- 「新しく、〜〜の企画をやって見たいと考えていますが、いかがでしょうか」
といった具合に、私たちは日々「承認を得る」ことを目的として相談をしています。
私たちは、この2つの相談の型を無意識に使い分けています。皆さんが相談する際は、「今はどちらを目的とした相談をしているのか」を自分の中で意識すると良いでしょう。
相談で得られる4つのメリット
相談には、4つのメリットがあります。
相談のメリット1:安心
相談は、「私はこんなことに悩んでいますよ」「これからこんな施策をやる予定ですよ」と上司やメンバーに認知してもらうことに他なりません。
自分の悩みや、検討している施策について認知しておいてもらうだけで、その後の安心感が全く違うことに気づくはずです。
相談が安心につながることをイメージしづらい方は、相談しなかった場合をイメージするとわかりやすいでしょう。
たとえば、あなたは上司から大事なコンペのプレゼンを依頼されたとします。実は、あなたは人前で話すのが大の苦手で、極度のあがり症です。
しかしあなたは、上司から「使えないやつだ」思われたくなかったために、この事実を伝えず、本番まで何の相談もせずひとりで練習しました。途中、やっぱり自分にはできないかもしれない。と感じましたが、今更そんなこと相談できない、と思い、相談はできません。
そして本番は、、案の定緊張してうまく話せず、プレゼンは大失敗。
この場合、上司は「なぜもっと早く相談しなかったんだ」と落胆することでしょう。
一方で、最初から「あがり症で、プレゼンは苦手だ」と伝えた上で、上司と相談しつつ準備したらどうだったでしょうか。仮に、相談しなかった場合同様、プレゼンに失敗したとしても、練習の過程やその後の上司の反応は大きく変わっていたことでしょう。
このように、ひとこと相談しておくだけで、「上司に知ってもらえている」という安心感が得られます。この安心感は、仕事を進める上でとても大切だと感じています。
相談のメリット2:成長
相談を上手く使える人は、成長が早い。これは至極当然の話で、相談をすればさまざまなアドバイスをもらえますから、それだけ自分の視野が広がります。また、積極的に相談をする人は、上司からの信頼を得やすく、大きな仕事を任されやすくなります。
こんなふうに思う人もいるかもしれません。(過去の私です笑)
本やネットを使って学習できる、というのはその通りなんですが、本やネットの情報には弱点があります。それは、本やネットから得られるノウハウは「一般化」されていることです。
本やネットの情報は、あなたのためだけに書かれたものではありません。もちろん著者はあなたの個別具体的な事情を知りません。そのため、どうしても内容が抽象的だったり、一般論中心になります。
一方で、相談の場合はあなたの個別具体的な事情を汲み取った上で、色々アドバイスをもらえます。イメージとしては、個別コンサルティングに近いでしょう。
相談を個別コンサルティングと考えれば、こんなに貴重な機会を無駄にしてしまうのはもったいないことです。ある程度業務経験のある人にコンサルティングを依頼すれば、1時間5,000円は下らないでしょう。これを何度でも使えるのですから、会社員という立場を上手く使わない手はありません。
相談のメリット3:信頼
相談に来ない社員よりも、頻繁に相談に来る社員の方が、上司は信頼を置きやすいです。これは私の中間管理職としての経験から、断言できます。
管理職というのは、表に出さないだけで、結構不安を抱えているものです。だって、チームにおける失敗・失態は全部管理職の責任になりますから。
こんなふうに思っている管理職も、私は多いと思っています。でも、あまり自分が口を出してしまうと、マイクロマネジメントになりチームの士気を下げますし、何よりメンバーの成長につながりません。
だから、そこはグッと我慢して、管理職はメンバーに仕事を任せています。
でも、上司も人間です。人間である以上、「失敗したくない」という自己保存の法則が働きます。
部下から頻繁に相談をあげてもらえれば、的確なアドバイスによって失敗を避けられます。また、もし自分に相談した上で部下が失敗したなら、責任の取りようがあるというものです。
上司としては、しっかりと相談してくれる部下の方が、安心して仕事を任せられます。そして、安心して任せられる部下には、大きな仕事を任せたくなるものです。あなたが早く大きな仕事を任されたいと思うのなら、相談をしっかり使いこなせなくてはなりません。
上司からの評価につながる
相談は、自分の能力を上司にアピールする場にもなります。
「自分の能力が正しく評価されていない」という愚痴を聞くことがあります。自分の能力をしっかりと見れていない会社側に非があるような物言いですが、みなさんはしっかりと自分の能力を上司に見せられているでしょうか。
いかに優れた上司であっても、見えないものは評価しようがありません。もしみなさんが大変優れたプレイヤーで、華々しい成果をあげていても、相談が一切なければ少なくとも「成果に至ったプロセス」は評価しようがありません。
完全成果主義の会社なら、相談をしていなくても成果さえ出していれば評価されるかもしれませんが、大半の会社では仕事のプロセスもセットで評価対象になるはずです。
つまり、相談によって上司は部下の成長を確認するのです。
とはいえ、相談って難しい
ここまでの内容で、「相談ってすげー」と思っていただけたら嬉しいです。ただ、本番はここから。相談って、仕事の基礎だと思われていますが、結構難しいんです。私自身も、まだまだ相談を使いこなせているとは言えません。
この章では、なぜ相談が難しいのか?について見ていきましょう。
できないやつだと思われてしまいそうだから
これは、入社間もない社員や、新卒にありがちな相談できない理由です。
しかし、この考え方は間違いだと断言します。先ほども少しふれましたが、上司からすると、相談に来ない部下より、色々と相談してくれる部下の方が間違いなく「デキる」社員です。
なぜなら、「コミュニケーションコストがかからないから」です。
自発的に相談に来る社員は、上司が拾い上げずとも、部下の方から不明点が上がってきます。上司としては、それに答えればいいだけなので、非常に楽なのです。
逆に、部下がまったく相談に来ない場合、大半の上司は「不安」を感じるはずです。どんな優秀な社員でも、完璧はあり得ません。だから、上司としては定期的に相談という形で部下の悩みや課題を掬い上げ手、解決したいのです。しかし、相談に来ない場合はその救い上げがうまく行かないため、不安を感じます。
もしあなたが、相談することで逆に自分の評価を落としそうだと感じるなら、それは「相談の仕方」に問題があるかもしれません。
一般的に、自分の意見を持たない受け身の質問は嫌われる傾向にあります。
- どうしたらいいでしょうか?
- 次何をしたらいいですか?
といった相談の仕方は避け、自分の意見も持参するようにしましょう。
この辺りの話は、以下の記事に詳しく書きましたので、ご興味があればご覧ください。
上司が忙しそうで声をかけるのが忍びない
この理由も、新人あるあるかなと思います。「上司が忙しそうだから」と、「できないやつだと思われたくない」は、新人の相談をくじく理由トップ2です。
忙しそうだから、相談しづらい、という気持ちはよくわかります。でも、大半の上司は「相談して欲しい」と思っているんです。
上司が忙しい、というのは事実としても、それによって「相談するかしないか」を決めるのはあなたではない、と私は思っています。
忙しくて相談して欲しくないなら、上司側がそれを伝えるべきです。そうでないなら、業務を円滑に進めるために、やっぱりあなたは相談するべきなのです。
では、忙しい上司にどうやって相談するか。これには、いくつかのコツがあります。
1つ目のコツは、時間を押さえてしまうことです。
このように、あらかじめ時間を押さえてしまえば上司も対応しやすくなります。
2つ目のコツは、あえて短めの時間で相談を打診することです。「〜について、いまお時間5分ほどいいでしょうか」といった具合に、短めの時間で打診することで、相談を受けてもらいやすくなります。
実はこの方法、5分で終わらなくてもいいんです。1度話し始めたら、きっとあなたの上司は中途半端な回答はしません。大体の場合で5分以上かかるんです。でも、経験上「5分以上かかるじゃないか」と思ったことはありませんし、私もこの方法で「5分以上かかっているよ」と言われたことはありません。
相談したら否定や拒否されそうだから
これは、ある程度仕事ができるようになってきた中堅社員にありがちな理由です。自分の中でやりたい施策があるとか、口出しされたくないとかいった理由で、相談を避けてしまいます。
これは、成功しても失敗しても、どちらに転んでもいい結果を生まないため、お勧めしません。
確かに、「えいや」で相談せずに進めてしまって、上手くいくこともあるでしょう。しかし、これでは「上手くいったのに、評価されない」ことがあるのです。ひとこと相談した上で進めていれば、「よくやった!」という話になっていたものが、相談なしで進めるだけで「けしからん」になってしまうことがあります。
「理不尽だ」と感じるかもしれませんが、そこは上司も同じ人間。そういう感情を持つのは仕方がありません。それに、上手くいかなかったときの責任は、全て上司にありますから、やはり相談せずに進めるのは得策ではありません。
相談のタイミングや粒度が分からないから
相談が大事なのは分かっていて、上記のどれにも当てはまらないけれど、うまく相談できない人は、おそらくこのパターンに当てはまっています。
相談しなければと思っていても、タイミングが分からずうまく相談できないタイプです。
- 「これは相談するには流石に粒度が小さすぎるから、相談しなくていいか」
- 「これは、まだ相談すべきタイミングじゃないから、もう少し温めよう」
こう考え、適切な相談のタイミングを逃します。
この相談のタイミングや粒度を掴むのは、正直なところセンスというか、経験がモノをいうとおもっています。経験を積むと、「これは相談しなきゃやばいぞ」とか、「ここまでは自分で進めて大丈夫」と行ったことがわかってきます。
相談に関する経験則は、ある程度汎用的なスキルだと私は考えています。相談が上手い人は、職場が変わってもうまく相談できます。
私は、自分なりの「相談のフレームワーク」を持っています。日々の業務を「相談のフレームワーク」に当てはめて、相談すべき事象か、自分で意思決定をしてもいい事象か判断しています。
この相談のフレームワークは、また別の記事でご紹介できればと思います。